ステアロイル乳酸塩はアニオン系乳化剤で主にパン、菓子等の品質改良剤として使用されています。
ステアロイル乳酸塩は、グルテンに作用して生地の伸展性及び安定性が向上するため、発酵時間の過不足、機械混捏によるダメージを抑えることができることから、生地の改良に優れた効果を発揮します。パン・菓子・ドーナツ類や米粉を使用したパン、冷凍生地等への使用も適しています。
ステアロイル乳酸カルシウム（商品名：ベルフ）は、パンの品質改良剤として古くから使用されている乳化剤です。
当社では、用途に合わせて製品を提案しております。
ステアロイル乳酸塩は下記の食品に御利用いただけます。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
パン 例：食パン、菓子パン | 製造工程の改良 品質の向上 老化の防止 | 0.3%～0.5% | 4.0g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
スポンジケーキ及びバターケーキ 例：フルーツケーキ、スコッチケーキ、ショートケーキの台等 | 比容積の増大 品質の向上 老化の防止 | 1.5% | 5.5g/kg以下 |
上記以外 例：ドーナツ、揚げパン、クッキー、ビスケット | 比容積の増大 さくみ、食感の向上 老化の防止 | 0.3%～0.7% | 4.0g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
蒸しパン | 製造工程の改良 食感の向上 老化の防止 | 0.3%～1.5% | 5.5g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
蒸しまんじゅう | 製造工程の改良 | 0.3% | 2.0g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
例：だんご、柏餅、桜餅 | 製造工程の改良 | 1.0% | 6.0g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
生菓子（米を原料としたもの）用 | 製造工程の改良 | 1.0% | 10g/kg以下 |
スポンジケーキ、バターケーキ及び蒸しパン用 | 比容積の増大 | 1.5% | 8.0g/kg以下 |
菓子（小麦粉を原料とし、油脂で処理したもの）及びパン用 | 比容積の増大 | 0.3%～0.7% | 5.5g/kg以下 |
菓子 | 比容積の増大 | 0.7% | 5.0g/kg以下 |
蒸しまんじゅう用 | 製造工程の改良 | 0.3% | 2.5g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
| 対象食品・例 | 添加効果 | 最適添加量（対粉） | 量的な基準※ （食品に対して） |
|---|---|---|---|
マカロニ類 | めんの弾力性付与 | 0.4% | 4.0g/kg以下 |
その他めん類 | めんの弾力性付与 | 0.3% | 4.5g/kg以下 |
※“食品、添加物等の規格基準，第2添加物の部F，使用基準の項，ステアロイル乳酸カルシウムの目”による。
ベルフを使用した食品には、下記の例のような表示が必要です。
製品の種類 | ベルフ | ステアロイル乳酸ナトリウム |
化学名・IUPAC名 | ステアロイル乳酸カルシウム | ステアロイル乳酸ナトリウム |
別名 | 2-オクタデカノイルプロパン酸カルシウム ＊本品は、ステアロイル乳酸カルシウムの他に乳酸、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等を含有してます。
| 2-オクタデカノイルプロパン酸ナトリウム ＊本品は、ステアロイル乳酸ナトリウムの他に乳酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム等を含有してます。
|
CAS番号 | 5793-94-2、4508-49-0 | 25383-99-7、18200-72-1 |
性状 | 白～帯黄色の粉末で、においがないか、又は特異なにおいがある。 | 白～淡黄色の固体で、わずかに特異なにおいがある。 |
融点 | 45～60℃ | 35～50℃ |
溶解性 | 水に不溶 | 水に難溶 |
＊ステアロイル乳酸塩の詳細な有害性情報・物性データは、安全データシート（SDS）をご確認ください。
ベルフ
本品は、食品添加物「ステアロイル乳酸カルシウム」である。
| 1．性状 | 白～帯黄色の粉末で、においがないか、又は特異なにおいがある。 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2．確認試験 | （1）カルシウム塩の反応を呈する。 （2）融点54～69℃（ステアリン酸） （3）乳酸塩の反応を呈する。 | |||
| 3．純度試験 | （1）酸価 | 50～86 | ||
| （2）エステル価 | 125～164 | |||
| （3）総乳酸 | 32～38％ | |||
| （4）鉛 | 2μg/g以下 | |||
| （5）ヒ素 | 1.0μg/g以下 | |||
| 4．強熱残分 | 14.3～17.7％ | |||
食品、添加物等の規格基準「ステアロイル乳酸カルシウム」の項による。
ステアロイル乳酸ナトリウム
| 1．性状 | 白～淡黄色の固体で、わずかに特異なにおいがある。 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2．確認試験 | （1）赤外吸収スペクトル法で特性吸収を認める。 （2）ナトリウム塩の反応を呈する。 | |||
| 3．酸価 | 60～80 | |||
| 4．エステル価 | 150～190 | |||
| 5．純度試験 | （1）重金属 | 10ppm以下 | ||
| （2）ヒ素 | 1.0ppm以下 | |||
| 6．総乳酸 | 31.0～34.0％ | |||
| 7．ナトリウム含量 | 3.5～5.0％ | |||
医薬部外品原料規格「ステアロイル乳酸ナトリウム」の項、または一般試験法による。
| 食品 | 小麦粉製品全般（パン、菓子、麺類） |
|---|---|
| 工業用 | プラスチック可塑剤 |
だんごの付着時間に及ぼすステアロイル乳酸塩の影響
だんごの老化に及ぼすステアロイル乳酸塩の影響
小麦粉に対してステアロイル乳酸塩0.5％添加が最適です。
| 無添加 | ステアロイル乳酸塩0.5% | モノグリ0.5% | |
|---|---|---|---|
| 生地感（点数） | 硬い | 切れやすい | 柔らかく伸展性あり |
| 外観（5点） 色付（5点） 表皮（5点） 内相（5点） 触感（5点） 食感（5点） 風味（5点） 老化（5点） | 3 4 3 2 2 2 4 2 | 4 4 | 4 4 5 3 3 3 4 3 |
| 合計（40点） | 22 | 35 | 29 |
| 容積3個（ml） 重量3個（g） 比容積（ml/g） | 610 140 4.3 | 720 146 4.9 | 710 148 4.7 |
| 吸油率（%） | 8.3 | 10.8 | 13.4 |
| レオメータ最大強度（gf） | 1903 | 1805 | 1867 |
